中刷り広告や雑誌の表紙の写真に写っている人
が、いったい誰なのか分からない事が最近多々
ある。
知らなくて分からないのではなくて、
うーん?って感じのことである。
目の下の涙袋の下のシワ を消してしまってい
るからだ。
というか、消し方が雑で何も無くなっているか
らだと思う。
きっとそれを制作している人のなかに、
消せば良いくらいに考えている人がいるからだ
ろう。
表紙の写真だけでなく、写真を撮る時に重要な
表情という、シャッターを切りたくなる気持ち
にさせる大きな大きなポイントがある。
僕の場合そのポイントが一番で、ほとんどそれ
にしか反応してないのだ。
その表情の変化を見て取れるところのひとつに
目の下の涙袋の下のシワも入るのです。
だからきっと僕以外の撮影者達も、それに反応
して、シャッターを切っているはずだ。
にもかかわらず、みんなに提供する時には、
そのシワがいっさい消えて無くなっているのは
どうゆう事なのだろうか?
以前、英国の紳士服の広告の仕事で、数人の現
地の顧客のポートレートを撮影した時に、
リストの中にジョンバーナードという名前を
見つけた。当時フェラーリのF1カーのデザイ
ンをしていた人で、名前を見つけただけで興奮
した。数日後に彼の為にイタリアのメーカーが
わざわざイギリスに建てたフェラーリのデザイ
ンスタジオビル内で撮影した。素晴らしいポー
トレートだった。その後インタビューだったが
そこで、気に入っているスーツの話になった。
しかし彼は洋服のコーディネートは奥様にまか
せていると語った。素材や色のバランスなどは
言いなりだと。ただシルエットにだけは口出し
するんだと話した。
「僕は線にしか興味がないんだよ。」と
エアロダイナミックデザインの巨匠の言葉だっ
た。
表情も線の奇跡的な芸術だと僕は思うのです。
とくに2次元の写真においては。
その線のひとつひとつに意味があるように感じ
ます。色々な経緯はあると思うのですが、簡単
考えないでほしい、目の下の下のシワです。